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タグ: アスカ

お題:雪の日

「雪だー」
「雪だなぁ」
まだ昼間だというのに薄暗い辺りを覆う曇天。
そこから静かに舞い落ちるのは純白の雪。
空を見上げたアスカとクレイの頬には次々と雪が着地する。
つめて、と言ってアスカは首をぶんぶんと振った。
「積もるかな、寒いのはイヤなんだけどな」
「どうだか。それに積もらなくても寒いもんは寒いだろうさ」
身体を震わすアスカにしれっと言い放つクレイ。
しかし二人の周りの気温はじんわりと上がっていく。
炎を司る精霊達が集まっているのだ。
雪が、熱の周りへと流れていく。
「ん、あそこにいるのエスか」
「え゛ッ」
ふとクレイが人影を見付け言葉に出すと、咄嗟にアスカは上擦った声を上げた。
「別に取って喰われたりはしないっての」
「分からないじゃん!」
「お前なぁ…」
呆れた声を出しながら、クレイは遠くの人影を見つめた。
普段からふらりと姿を眩ますことの多い彼だが、冬場は特に多いなとクレイは気付いていた。
特に、その冬初めて雪が降る日。
そして一年に一度の日付。
丁度それが、今年は重なっていた。
「ま、思う所もあるんだろうさ」
「クレイ兄、そろそろ行こ、エッさんも一人にして欲しい日だってあるだろうし!ね!」
「大体一人でいるけどな…って引っ張るなオイ」
アスカにぐいぐいと袖を引かれ、このままでは無駄に生地が伸びてしまうと焦ったクレイはアスカに従ってその場を離れることにした。
フィスエスが手に持つ白い花を、珍しいなと少し眺めながら。

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20分

レナ側