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お題:バトル物その2

ドカンという衝撃音と同時にもうもうと立ち込める土煙に巻き込まれぬよう、影凜はそっとその場から数歩離れた。
とても面白くない、と不愉快を全面に出した表情は、見る人が見れば何が起きているのか一目瞭然だった。
土煙が収まるのを待たずに、次の動きが始まる。
キラリと一瞬光が走り、続いて影が飛び出す。その影を追ってもう一つの影が飛び出し、そして、
「ダリアてめえええ」
怒号が鳴り響く。
先に飛び出した影は身軽に数度跳ぶとストンと影凜の隣に着地した。
「何さ、折角久しぶりの再会なのにつれないねェ」
先に跳んだ影―――ダリアは、ケラケラと笑いながらそう言い放った。
その視線の先、土煙がようやく収まりつつある景色を背景に、額からたらりと流れる血を気にも留めずに黒翔は黒い笑みを浮かべて立っていた。
「再会の度に人のこと殺す気かッ」
「やっだなァ!アンタがこれ如きで死ぬなんて思ってないし、死ぬならその程度だったて事だし?」
「殺意満々じゃねえか!」
胸を張り満面の笑みで言い切ったダリアに対し、黒翔は血管が千切れそうになるまでギリギリと拳を握った。
土煙が収まった先、そこには車輪が四つ付いた車<グラン>が止まっている。つい今し方までダリアが乗っていた物だ。
車を猛スピードで走らせて駆け寄ってぶつかる事で止めようとするダリアの操縦の腕前は別に、悪い訳ではない。
だが正しい運転だとも言えない。
酷いじゃれつき方だと誰かが表現していたが、全くその通りで、その通り過ぎて全く納得が出来ないとぼやいていたのは黒翔だった。

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25分